アダージョの森とは

「アダージョの森」は、八ヶ岳の東南麓、清里にある落葉樹の雑木林である。あたりには、観光地とは少し離れた、ひっそりとした懐かしい田舎の風景が広がっている。

 標高は1100m、敷地面積は9095㎡。
北海道の札幌ぐらいの気温である。八ヶ岳で隔てられて、冬の間もあまり雪は降らず、晴天の日が多い。乾燥した冷たい空気は植物にとって必ずしも好ましい条件ではない。

 もとは大木が生えていた里山だったが、30年ほど前に全ての木が伐採された。森のところどころに、朽ちた大きな切り株が残っている。その後、風や鳥や獣などが運んだ種子が芽生え、今では、コナラやヤマザクラなどの茂る美しい雑木林になった。

 「アダージョの森」の周りに、農業用の用水路が”せせらぎ”のように流れていて、さわやかな水の音を立てている。それで私たちはこの水路のことを「せせらぎ」と呼んでいる。

 正面には北岳を主峰にして、左に鳳凰三山、右に甲斐駒ケ岳が並び立ち、西北側には八ヶ岳を望む。 付近の田畑は、秋になると一面の白い蕎麦の花に輝く。

 「アダージョの森」を試みに、次の5つのエリアに分けてみた。

    東側、鬱蒼と木が茂る静かなエリアは ・・・・・「Silent garden」
    北側、南アルプス、八ヶ岳を展望するエリアは ・・・・・・    「Hill top 」 
    中央、炉があるエリアは ・・・・・・・・・・・・・・・・「Tomorrow garden」
    南側、色んな山野草が咲くエリアは・・・・・・・・・・・「Harmony garden」
    北側、入り口付近は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「Entrance garden」

 この5つのエリアで、気まぐれに任せ、木を伐採したり、新たに植えたり、下草を刈ったり、花を植えたりしてきた。 天気がいいときには、薪が燃える炉の側で食事をし、ハンモックに揺られる。  

四季豊かな、ひっそりとした雑木林で、夫婦二人で森の暮らしを愉しんでいる。